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色々短編集!

第5章 黒子のバスケ―――黛千尋


みずきside


ガチャ

昼休み


屋上の扉を開けたら冷たい風が頬に当たって痛く感じる



『あーあ、もう嫌や……』

そう口に出すとじわりと涙が浮かんでくる
私は扉に背を預け座り込んだ

実は4限前の休み時間半年付き合ってた彼氏が他の女の子とキスしてるのを見た
二人はそのまま4限が始まんのに空き教室へと入ってった

『………ううっ……』

初恋やった

彼氏はサッカー部のエースで、いつも私に優しくしてくれた
そんなところにますます惹かれて告白すると、「俺も」と恥ずかしそうに笑って付き合い始めた

やのに………

『私が………あかんかったんかなぁ………』

溢れる涙を拭いもせずにそう呟いた

その時


「泣くなら他所で泣け」

『えっ!?』

男の声が聞こえて顔を上げると不機嫌さを隠しもせんと私の前に立つ男がいた

今までいたことに気づかんかった私は目を見開いたままその男を凝視した

「読書の邪魔だ」

その口から出たのは今の私にはキツい言葉

『別にここはあんただけの場所やないやろ!』

それに反抗してそう言ったが、相手は冷静だった

「ああ、そうだ。だが、ここは泣く場所でもない」

『うっ…』

「そこを退いてくれ、松長」

『え!?なんで私の名前!?もしかしてストー「違ぇよ」

『じゃあ何や!?』

「クラスメイト。松長みずき、授業中いつもノートに絵書いてるだろ」

『えっと……ごめん。名前、なんやっけ?』

「………はぁ………黛千尋だ」

『黛……確かにそんな名前のやつおったかも』

あまりの影の薄さにさっきまで泣いていたことも忘れ、くすっと笑うと本の角で額を小突かれた

これがまた痛い

『いったぁ………本ですることないやん……』

少し赤くなってしまったであろう額を擦っていると黛がフッと笑った

「目を真っ赤に腫らした次は額が赤くなってる……っ」

黛はクックッと笑っている

その姿に少しキュンとしてしまった
思わず凝視していると視線に気づいた黛が私を見る

「何だ」

『いや、黛って笑うんだね』

「はぁ?」

『いや、どう見ても笑わない人っぽいから』

「お前、失礼だな」



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