第4章 Free!―――山崎宗介
宗介side
松長においしいと言われて照れる
それを隠すために松長から視線をそらした
岩鳶の奴らは来るだろうと思っていたが、まさか松長も来るとは思っていなかった
心の準備ができていなかったいうか、なんというか、松長が来たと知って心臓がうるさくなった
「んじゃ、行くか」
松長がオムライスを食べ終わったのを見て凛がそう言う
御子柴と似鳥も休憩に入り、「クワガタ、クワガタ!」と言って着替えるため、裏に走っていった
「みずきちゃんも食べ終わったし、そろそろ行こっか!凛ちゃん!宗ちゃん!」
「宗……ちゃん……!?」
隣では凛がニヤニヤと笑っている
なぜ宗ちゃんなんだ……!?
そんなことを疑問に思いながら俺たちは地獄の冥土喫茶を出て廊下を歩いた
「御子柴部長がやらなきゃ退部って言うんだぜ?」
「……凄いね…」
『やらなくてよかったのに……』
「あぁ?んだとぉみずき!」
松長がボソッと呟いた言葉は凛の耳に届いたようで頭をグリグリされている
『いたっ!痛い痛いっ!』
「んなこと言うなら宗介のアレ、やんねぇぞ?」
『あ、アレ…?』
前で何やら凛と松長がこそこそと話している
凛は俺の気持ちを知っているし、松長のことは恋愛対象に見れないと言っていたが、松長はどうなのだろうか……
二人を見ていると、凛の携帯を覗き込んだ松長が真っ赤になって口元を押さえた
俺の方から凛の携帯の画面は見えないが、俺は失恋したような気分になった