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【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第4章  家族







懐かしい匂いがする。
あぁ、これは私が好きなサッチ兄様が作ったチェリーパイ。



ミホークに連れられて訪れた大きなお船。
そこには大きな白いヒゲのおじさんと沢山の男の人がいた。

8歳まで住んでいた大切な大切な私の家族。

私を娘だと受け入れてくれた 父様。
妹だと可愛がってくれた 兄様達。

私は守られていたんだ。
ミホークと共に剣を握って戦っていた毎日とは違い。
剣すら握らせてもらえず、綿毛に包まれた様な暖かい中で守られ過ごした日々。

安心と安全が私を包んでいた。






『ーーーぅぅっーーーー』

「気付いたよい!?」

目を開けるとそこにはマルコの顔が、どアップで待ち構えていた。

『・・・』

「オイ、どうした?何処か痛いのか?!」

『・・・近い』

心配顔のマルコ。
懐かしい、よくそんな顔を私に見せていた心配性のマルコ兄様。

「マルコ少し離れなさいなぁ、気分はどうだい?」

独特な甘い匂い、これはイゾウ兄様。

あぁ、懐かしい。
戻って来たかった私の場所。

「あっ!気付いた?!
が大好きだったチェリーパイ作ったよッ」

この声は、ハルタ兄様。

昔と少しも変わらない懐かしい兄様達。
私が大好きだった、サッチ兄様のチェリーパイを覚えていてくれている。

サッチ、兄様・・・

『・・っああぁ!!』

「どうしたよい!やっぱり何処か痛めたかいッ!!」

『マルコ、兄様ッ・・私、わたしっ・・・・
サッチ兄、様がいなくなる・・気付いて・・・
・・でも、何も何も・・・出来なかったのぉ!!』


忘れる事が出来ない。
目を瞑れば思い出すあの惨劇。

ギュッと抱きしめるマルコ。
の身体を包み込み、ゆっくりと落ち着かせる様に背中を摩る。

「、大丈夫だい。
大丈夫だから泣け、俺達がそばにいるよい。
お前の気持ちは痛いほどわかる。
大丈夫だ、大丈夫だよい」

やっと泣ける場所へ帰って来れた。

あの頃は泣き虫だった。
いつもいつもマルコ兄様の腕の中で泣いて、抱きついたまま眠った。

あぁ、やっと眠れる。
マルコ兄様の腕の中が私が求めていた場所だ。





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