第1章 きっかけ
「じゃあ僕はここで、今日は早く帰ってきますね」
「うん、お仕事頑張ってねパパ」
パパと別れ、少し歩くとご近所さんの姿が見えてきた。
同じ地域に住む松野松代さんだ。
なにやら荷造りをしていた。
「おはようございます、松代さん」
「あらっ、おはよう夢花ちゃん
相変わらず朝が早くて感心するわ、家のニート達とは大違い」
いつものように挨拶をすると、松代さんも挨拶を返してくれた。
「ふふっそんなことありませんよ、それよりどうしたんですか?まさか引っ越し…」
私は門前に置かれた荷物に目を向ける。
旅行という考えも浮かんだけれどそれにしては荷物が多いような気がした。
「ええそうなの、父さんの地方出張が決まってね
一年間秋田で暮らすことになったのよ」
それを聞いて、私は驚いた。