第2章 小さな箱
私は、悲しみをこらえ新選組の屯所を整理していた。
たくさんお茶を運んだ土方さんの部屋。
金平糖を食べた沖田さんの部屋。
こっそりおにぎりを上げた平助くんの部屋。
相談に乗ってもらった原田さんの部屋。
医療について教えてもらった山崎さんの部屋。
沢山お話をした山南さんの部屋。
そして、一つになったあの愛する人の部屋。
想い出が、沢山詰まったこの屯所。
色んなことがあったこの屯所。
あの人の部屋の整理が1番辛かった。
もう、あの人がいないという事を突きつけられているみたいだった。
物数が少なく、綺麗に整理された部屋。
あの人の何かを手元に残して置きたいと、何かを残せるものをと探した。
あの人が使っていた机の中に小さな箱があった。
その箱には
「愛する千鶴へ」
と書かれていた。