第2章 月のうさぎは選ぶのか?
「月の兎の審神者殿におかれましては、こちらで初期刀を選んでいただきたい。」
月読命直々の力で本来の姿から強制的に人型を取らされ、親兎の選んだ着慣れない服を着た。
一刻もしない内に下界の政府というよく分からない組織に連れて行かれ、審神者と新しく呼ばれた。
混乱しているうさぎに一切頓着せず、ただ話は進んで行く。
先程から案内をしている男が指を指した薄暗い部屋には5振りの刀が鎮座していた。
「みぎから、山姥切国広、加州清光、歌仙兼定、陸奥守吉行、蜂須賀虎徹。そして私は貴方の上司である豚野貪蔵です。よろしくお願いしますね」
「……」
ねとりとうさぎを見下ろす視線にうさぎはさらに身を固くする。
ただでさえ色のうすい唇を血が滲むほど噛み締めて耐えていた。
「ふ、それでは中に入りゆるりときめましょう」