第9章 仮装はいかが?【紅松】
さらさらとマスクの皺をなくす様に引っ張りながら筆を走らせて行く。
気が付くと傍で十四松も見入っていた。
「カラ松兄さんすっげ~~~!!僕もメイクしたいっす!」
俺からはカラ松が何を描いているのか見えないがおそ松兄さんもあっけにとられて見入っている当たりすごいものを描いているんだろうなとドキドキした。
「よ~し、チョロ松兄さんは終わり!うわぁ~、僕もカラ松兄さんに描いてもらおうかな!?」
「構わないぞ」
「トッティー!僕にも描いて描いてぇ!」
十四松がトド松の前に座る。
トド松は初心者とは思えないくらい器用に十四松の顔に可愛らしいペイントお施していった。
「よしっ、一松終わったぞ!」
俺はカラ松に渡された手鏡を覗き込んで言葉を失った。
マスクにはカラフルな色使いでセンス良く猫の口元や鼻やヒゲが描き込まれていた。
目元にもすこしペイントが施されている。
本当に劇団さながらのペイントだった。
「すご・・・」
「気に入ってもらえたか!?」
俺は褒めるのもしゃくだったのでまーまーと答えてしまった。
だけどカラ松は嬉しそうに微笑んだ。
俺は赤くなった顔を隠すためにフードを深く被ってしまったけど、俺の気持ちは届いているだろうか・・・
その後はカラ松がトド松の顔に血のペイントを施して準備が完了した。
家の前でトド松が記念写真を撮ろうと門の上にスマホを置いてタイマーで撮影した。
そして俺達は商店街に向かった。
商店街は仮装した人たちでごった返していた。
ハイテンションで先を行ってしまった十四松をチョロ松兄さんが追いかけて行ってさっそく逸れてしまう。
「も~、十四松兄さん何やってんの~」
トド松が二人が消えていった方を見つめて口を尖らせた。
トド松の肩をポンポンと叩いておそ松兄さんも溜息を吐く。
「ま、チョロ松に任せておけば大丈夫だろ?あいつ足早いし・・・そんな事より俺達も別行動と行こうぜ?」
トド松の肩に腕を回しておそ松兄さんがにや~っと俺とカラ松を見やる。
「何が言いたいのおそ松兄さん。余計なお世話なんだk」
「サンキューブラザー!」
俺が言い終わるよりも早く俺はカラ松に腕を掴まれぐいぐいと引っ張られた。
しばらく歩いて店と店の間の人ひとりが何とか通れるほどの隙間に連れ込まれた。
「いちまぁ~つ」
「ちょ・・・カラ、松?」