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With Live Planet _この星で生きる_

第12章 新しい暮らし


スゥはずっと相槌を打ってくれていて、なんだか話しやすい。




「それから何時間かして地下へと続く階段を下りる足跡が聞こえました。


エナさんが帰ってきたのだと思って、私は立ち上がって地下扉の前で待っていました。


そして扉が開き、見えたのは黒光りしている銃でした。



エナさんは私が邪魔になった、男と暮らしたいと言ってきました。



私は不思議と抵抗しようだとか、死にたくないとかは一切考えずに目の前の現実を受け入れた。



その後すぐに銃発音が聞こえたけど、一切の痛みはなかった。

きっと幸せに生きてこられたから死ぬ時に痛みもないんだ、なんて考えてました。



…でも、そのあとすぐにエナさんは私の方に倒れてきました。


私に抱きつくような姿勢だったので私もエナさんの背中に手を回しました。


そしたらヌルッとした感触を感じて、自分の手を見れば真っ赤な血が付いていました。



その時初めて撃たれたのは自分ではなく、エナさんなのだと気付きました。



前を見たら銃を構えて震えている男の人がいました。



そこからはちゃんと覚えていないけど私はその男を殺してしばらく泣いていました」




多分反射だろう、エナさんを殺された怒りや自分も死ぬという怖さからの。


エナさんが持っていた銃を彼に向けてそのまま発砲してしまった。




「そんなことが……それが花凛を変えたの?」



私はその問いに首を振ると、スゥは話の続きを促してきた。



「いまの出来事は関わっていたけど、そのあとの方が地獄でした。



大切な人を殺された怒り。

自分だけが生き残った悲しみ。

大切な人の大切な人を殺してしまった罪悪感。

明日からの生活の不安。

人を殺してしまった恐怖。


そして、生き残れた喜びを一度に感じました。


矛盾だらけの感情が浮かびは消えてを繰り返して、精神的におかしくなった私が最後に決断したのは、



人を殺して生き残る、それだけでした」




何かを乗り越えて、憑かれた人間は何よりも脆く、とても強い。


それを我が身でしっかり感じた。




「いまでもずっとその感情は残ってて、いつもは閉じ込めてたの。

でも前に訓練で地球にいた頃の私を思い出しちゃって正直、参ってる」




そういうとスゥは抱きしめてきた。
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