With Live Planet _この星で生きる_
第12章 新しい暮らし
その日はあばらが痛むのもあってずっとお家にいた。
「リュウ、ぐっすりだね…」
くまのぬいぐるみを抱いて寝ているリュウの頭を撫でる。
「うん、花凛のおかげだね」
優しいお兄さんの顔をしてるスゥが先ほどまで龍が読んでいた本を片付けながら言っていた。
「バァバさ、自分が誰なのかを知れって言ってたでしょ?でも結局分からないの」
2階から1階に降りた私たちは、今にある椅子に座ってお話ししていた。
「自分が誰なのか、か。難しいね。
過去には向き合えたの?」
その問いに私は首を横に振った。
未だに地球にいた頃の夢を見てはうなされ、泣いている。
「過去に向き合ったら花凛になってしまう気がするの。人を当然のように殺す怪物に……」
人を殺してから、ふと顔を上げた時、ガラス張りのドアに映った自分の顔が忘れられない。
「過去に向き合って花凛になったとしても俺は支えるよ。
花凛になったとしても俺たちを殺そうと思うの?」
私は即座に否定した。
こんなに優しい人を殺す理由なんてなにもない。
「だからもしできるなら花凛の過去を、苦しみを共有したい。ダメかな?」
私の目を見て、スゥは言ってきた。
私もいつまでもうじうじしてられないし、区切りをつけなきゃ……!!
「まだ戦争が始まってない頃、私はエナさんという方と暮らしていました。
エナさんはとても優しい方で、本物のお母さんのように接してくれました。
でも、戦争が始まるとエナさんはずっと地下にいたりとストレスが溜まっていたようで男漁りが激しくなりました。
私もお世話になっているし、特に迷惑していないので知らないふりをしてました。
その合間に遂に戦争は日本で繰り広げられるようになりました。
そんなある日の夜、いつものように男の人が来たので私は地下に行き寝ているふりをしました」