With Live Planet _この星で生きる_
第12章 新しい暮らし
「…じゃあ、もうしばらくいてもいいかな?」
私がそう言うとリュウは私に抱きついてきた。
私はこの子の涙にはめっぽう弱いようだ。
「無理言って悪いな、花凛。
花凛が来てからリュウが笑ってることが多くなったんだ。
俺と2人だとあんまり笑ってくれないし、アマテラスが来た時は笑ってたんだけどさ。
すぐ帰っちゃったから……」
またスゥはお兄ちゃんとしての自信が薄くなってきたようで、後ろ姿が小さく見える。
「スゥ、1人だと家事もリュウの面倒も大変だと思うけど私も力になるから。
大丈夫、スゥはいいお兄ちゃんだ」
ありがとう、と言ったスゥはまた洗い物を再開していた。
それから私たちは3人で遊んでいた時だった。
扉がノックされたので、スゥは玄関へ行く。
「おい、大変だぞ!テレビ見てみろっ!」
村民の人が何やら慌てた様子で、私たちに言う。
すぐに役所にあるテレビのところへ行くと、みんなが群がっていた。
『第1級戦闘士のアマテラスさんが行方不明になりました。
話によると彼女が使っていた部屋には軍服が綺麗に畳まれていて、私物は一切なくなっていた模様です……』
アナウンサーがそう言いながら、私の映像が流れていた。
私はパーカーのフードを被り、顔を分かりづらくする。
正体がばれていないか、辺りを見回すと
目が合ってしまった。
たまたま目が合ったとかではなく、明らかにこっちを見ていた。
その瞬間、私の足は村の出口を向けて走り出していた。
「花凛っ⁉︎⁉︎」
スゥにが私の名を呼んだが、それを無視して私は全力疾走する。
まさかこんなに早く公表されるなんて…
かなり走ってから後ろを向くと、ついてきてる人は誰もいなかった。
スマホも食料もバッグの中だ、でも取りに戻れないし…。