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恋人の両親は専属SP!?

第1章 甘いものがあったからとりあえず口に入れてみた


♪ピロリン

近くでメールの着信音が聞こえた。
優樹はズボンの後ろからスマホを取り出し画面を確認する。


メール 1件 受信
大地さん

さっきは怒鳴って悪かった。
なるべく早く、気を付けて帰って来なさい。


「……だってさ」
「他人事みたいだね?」
「「いつもの事」だろ?」

優樹はスマホをズボンに仕舞い、目の前の唇にチュっとキスをしてからソファーを降りた。

「サンキューな」
「それはチョコに対して?それとも僕………?」
「どっちも甘くて美味かったよ!」
「ふふっいくら甘いものが好きでももう透さんのクッキーは食べたらダメだよ?」

猫丸は身支度した優樹を玄関まで見送る。

「はははっ!わかってる。今度から甘いもの欲しくなったらお前んトコ来るようにするから」
「甘党の彼を持つと大変だ!」
「知ってて付き合ってるクセに」

(次はどんなチョコレートを用意しようかなぁ……)

またね!と見送り部屋に戻ると猫丸は早速チョコレートとそれに合うコーヒーを検索し始めた。








「猫丸〜コーヒーおかわり!」

あれから一週間後、優樹はまたご機嫌ナナメで猫丸の家に上がり込んでいた。
「透さんのクッキーを食べたら大地さんにキレられた事件」の日、優樹は自宅へ帰り「ただいま」「おかえり」でその日は事なきを得た。はずだったが……

(どうやらこの事件にはまだ隠され謎が存在するらしい……)

猫丸は探偵漫画の主人公の様に推理する仕草をすると優樹はおもむろに口を開いた。


「今日、家に帰って来ったら、キッチンに新しい冷蔵庫が増えてた」
「増えてた?」
「良くわからないけど、無駄に性能がいい最新型なんだとさ……」
「………」
「「透用」って張り紙がしてあった……」
「……(そう来たんだ)」
「俺、やっぱムリだわ……」

ガクッと項垂れる優樹によしよしと落ち着かせる様に頭を撫でる猫丸。

「俺を甘やかしてくれるのはお前だけだよ……」
「随分と大きな甘えん坊さんですねー」

そう言いながらも目の前にいつもの様にコーヒーとチョコレートを置く猫丸だった。
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