第1章 甘いものがあったからとりあえず口に入れてみた
「ただいまー………って何じゃこりゃー!?」
とある日の昼下がり、桂木家に優樹の声が響き渡った。
近所のコンビニでカフェオレとアルフォート、それから所々立ち読みした雑誌を買って自宅に戻って来たら、つい先程家を出る前までは存在しなかった物がキッチンに。そしてダイニングテーブルには取説がちゃっかりと置いてあった。
「透用……って」
扉に貼られた大きくて力強くはっきりとした文字は、間違いなく大地さんのものだ。
(いや、まさかね……さすがにコレは………)
優樹はそっとその冷蔵庫に手を掛け開けてみる。
中はまだ通電していないのか、冷えてはいない。が、何故か赤いリボンの掛かった包みが置いてあった。
よく見るとリボンにメッセージカードが挟んである。
『愛してる。二人の思い出は永遠に色褪せる事は無い』
(………マジかー!?冷蔵庫の中心で愛を叫んでるよ!ってかどんだけ思い出を冷凍保存しときたいんだよ!……あ、これアルバムなのか?重すぎるだろ!?想いが重すぎる!推定100kgの想いは重すぎる!!!!!!)
ガタッ
ふと優樹の背後から物音が聞こえた。
恐る恐る振り向くのだが、嫌な予感とは大抵当たるというもので、そこには眉間にシワを寄せた大地さんが立っていたのだった。
「優樹……ちょっと目を離した隙に!」
「は、ははは……俺、ちょっと外出てくるわ!」
「あっ!こら、待てっ!!」
とある桂木家の日常。
今日も通常運転で平和です。