die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第4章 episode.4
「おや、てっきり貴女はそのつもりなのかと思っていましたが。
ほうれん草など買ってきて、鉄分補給したいとのアピールかと思いましたよ」
「え…!いえ、そんなつもりは」
レイジさんは手馴れた様子で手際よくパスタを仕上げてしまった。
料理も上手なんだと感心してしまう。
「わぁ…凄く美味しそうですね…」
目の前に置かれたお皿からはとてもいい匂いがする。
「さ、食べてみて下さい」
「はい…。いただきます」
クリームソースに卵黄を溶かしてフォークに巻き取るとベーコンとほうれん草が程良く絡んできて、一緒に口に運ぶ。
「…!美味しいです…!」
塩加減とパスタの茹で加減が完璧でお店みたいな仕上がりだった。
「それは良かったです。ふむ…。
うまく出来ています。
新鮮なたまごが手に入るのはいい事ですね」
レイジさん満足そう。
良かった。
でもどうして私にも食べさせてくれたんだろう。
疑問に思いながらも、お皿は程なくして空になった。