die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第1章 episode.1
「アヤト。何事ですか、騒々しい」
どこからか声が聞こえる。
「チッ!邪魔すんじゃねぇよ」
「ところかまわず食い荒らすのははしたないと普段から言っているでしょう」
「るせー!偉そうにするんじゃねぇよ」
男の子は諦めたのか掴んでいた腕を離す。
その場に力なくへたり込む女の子。
「俺様が見つけたのによ…!」
口元の血を手で拭いながら、そのまま立ち去ろうとする。
私は…、どうしてこんなに身体が重いのだろう…。
動けないよ…。
コツコツと足音が聞こえ、さっきまで男の子に諭していた男性がこちらに近づいてくる。