die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第3章 episode.3
聞いちゃいけなかったかなと一瞬思ったけれど、ライトくんはさして気にしてなさそう。
「兄弟みんなヴァンパイアって事は、その…お父様やお母様たちも…?」
「…そうだよ」
一瞬少し間を置いて答えてくれる。
みんな、そうなんだ…。
「ねぇ、ご両親は…」
言いかけたけど遮られてしまう。
「んもう、今はいいじゃない、そんな事。
あんまりうるさいと、その口、ふさいじゃうよ?」
触れるだけのキスが一瞬口に触れる。
「…もっと、気持ちよくしてあげる♪」
そう言って笑った時に覗いた牙を見て、どきりとしてしまった。
さっきライトくんが口で触れた唇を噛むと、よく聞く鉄のような血の味がかすかにした。
私には美味しさなんて分からない。