die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第23章 episode.23
「フフフ…。
良い決断だ」
カールハインツさんは、心から嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「そうだな…。
無事戻ってきた暁には…」
こちらへ視線を向けられ、心臓がはねる。
「是非とも私と踊って頂こう…」
再び恭しく手を取られて、微笑まれた。
「…あ、あの…」
その仕草に、ただ戸惑ってしまう。
最初の時とは違って、少し冷静になれているからだろうか?
改めて近くで見つめられると、その瞳はレイジさんと良く似ていると感じた。
そんな事を思った次の瞬間、突然目の前が真っ暗になった。
「っ…!!」
途端に、上も下も分からない感覚に襲われる。
もし、宇宙に放り出されたらこんな感じなのだろうか。
でも息はしている…はず。
声は出ているのか、出せないのかよく分からない。
何も見えない暗闇に、自分が目を開けているのかも分からなくなった。