die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第22章 episode.22
「…レイジさん?」
一旦寝室も覗いてみたけれど、まだ戻って居ないみたいだ。
部屋に戻り、椅子に腰掛けてクランベリージュースに口を付ける。
「ふう…」
とても静かな室内。
今頃、屋敷はどうなっているのかな…。
「………」
じっと座っていると、色々と考えてしまいそうで、振り切るように立ち上がった。
「…お掃除でもしてよう」
分厚いカーテンを指でそっとめくり、窓の外を覗いてみる。
あれ…何だか今日は、少しだけ空が明るく見える。
「わっ…!」
ふと見上げてみると、格子付きの窓の上には黒い塊が多数ぶら下がっていた。
「もしかして…?」
一瞬とても驚いたけれど、パタパタと羽を動かすその中に、なんとなく見覚えのある姿があった。
窓を少し開けて招き入れると、隙間からスッと入り込んであの日のように肩に降りて来た。
「やっぱりそうだ。
ふふ、元気にしてるんだね」
屋敷を逃げ出した時に守ってくれた、レイジさんの使い魔。
ふわふわのお腹を指で撫でた。
「この数は…見張りの為…?かな」
その思いに報いる為、余計な事はしないでおこうと、すぐに窓を閉めてカーテンを引いた。