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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第20章 episode.20


反射的に目を閉じる。


静かなままの空気…。


何とも……ない…?


風のようなものがふっと髪を揺らし、目を開けると真っ暗だった。


「あ…」


真っ暗だったのは、レイジさんの腕の中に居たからだった。
守ってくれた…?


「フフフ。
目覚めるのだ…!
もうすぐ会える…コーデリア」


声のした方を振り返ると、いつの間にか私達を超えて人間界への扉の前に立ち、手を掛けている。


レイジさんは腕を解くと、一歩その扉へと進んだ。


「コーデリア…?
目覚める?
どういう事です?叔父上」


「ふん、まぁ…お前たちには何も出来ないのだから教えてやろう。
あの人間の娘の中で覚醒を待って居たコーデリアが、遂にその時を迎えるのだ。
せいぜいこちら側から傍観しておけ…」


そう言い残し、扉の向こうに消えて行った。


「覚醒…?
どう言う事でしょう。
叔父上は何をたくらんで…。
マイ、私達も行きますよ」


「は、はい…!」


私達も叔父さんが消えた扉に歩み寄り、レイジさんがそれに触れる。


「…!?」


「どうしたんですか?」


ガチャッと大きな音を立てる扉。


押し引きしても同じ音が響くだけだった。


「まさか…」


レイジさんは私が感じた嫌な予感を確信に変えるように呟いた。


「どうやら、こちらの世界に閉じ込められてしまったようです」
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