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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第19章 episode.19


特殊な血…。


目を落とすと目に入るのは、レイジさんから吸血された跡が残る手首。


酷く吸血された記憶があるけれど、その割に傷跡はもう随分と良くなっていた。


「それ故、その血の匂いに興味本位で近づいて来る者、もし正体がばれてしまった場合は、攻撃してくる者もいるかもしれません」


「それは…。
やっぱり私が行くと危険って事なんですよね?」


「可能性が無いとは正直言い切れません。
やはり、怖いですか…?」


「私は…。
怖くないと言ったら嘘になりますけど…」


傷跡のある方と逆の手首には、レイジさんが贈ってくれたアクアマリンのブレスレットが穏やかな色を放っている。


対照的にも見えるそれは、私にとってはどちらも大切な証のように思えた。


「でもそれより、またレイジさんに迷惑掛けてしまうんじゃないかと…」


自分が無力だと言うことは、充分理解している。
だからこそ、努力すべきだとも。


でも、努力だけではどうにもならないと言う事も分かっている。


私が手首の傷跡を見て居る事に気が付いたのか、私の手を取ると、そこに軽くキスをしてそのまま引き寄せられた。


「そんな事、今更だと…何度も言ったでしょう。
貴女をみすみす危険な目に遭わせるつもりはありません。
…私の傍を、離れないように」


少しだけ力の込められた私を抱き締める腕に、心までぎゅっと締め付けられたような感覚を覚えた。
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