die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第19章 episode.19
「これは…。
…あ、ここだ」
分厚い本を、棚の隙間を埋める様に空気を押し出しながら押し込む。
読み終えた複数の本を、棚に戻す作業。
本には棚番号が振ってあるので、まずは棚を見つけ、数字順に並ぶ様にしまう。
作業自体はとても簡単な事なのだけど、何しろとても広く、幾多の棚がそびえ立っている為、慣れないうちはまず圧倒される。
歴史を感じさせる様な本からは古い匂いがするものもあり、そう言った本からはなんとも言えない、オーラのようなものさえ感じられる。
そんな本が、ここには沢山蔵書されているみたい。
レイジさんはここへ来てからずっと、難しそうな本を涼しげな顔で読んでいる。
私も協力したい気持ちはあるものの、そもそも読めない字で書かれたものや、呪術で文字が消されている書物もあって、私には一人で読む事が出来ず…。
結局邪魔しない事が今は一番の協力だと判断した。
せめて何か役に立ちたいと、読み終わって使わないと判断された本を戻す事を申し出た。
だけど…レイジさんはあまりいい顔をしなかった。
本当は隣に座っていて欲しかったみたいだけれど、私がどうしてもそうさせて欲しいと言うと仕方無さそうに了承してくれた。
…心配してくれているのだと思う。