die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第16章 episode.16
屋敷に戻った頃には、すっかり夜になっていた。
少し風が冷たく感じる。
彼女をひとりにする訳にはいかないので、私の部屋に寝かせた。
相変わらずずっとうなされている。
その手を握ると温かく脈打つ。
見つけた時に掴んだ手首がアザになっている。
あんな拒否の仕方をするなんて、尋常じゃない。
握った手のひらがぎゅっと握り返してくる。
どんな悪夢を見てそんなに怖がっているのか。
何があったのか…目が覚めたら話してくれるだろうか。
うっすらと暗闇に明かりが差す。
目を開けると目が腫れてるのか腫れぼったく頭はぼうっとする。
心が痛かった…?
あれは…夢?
痛い、今も…。
身体に感覚が戻ってくる。
手が…私の手がしっかりと握られ、レイジさんが座ったまま眠っていた。
寒気がするような恐怖を覚えて引っ込めようとする。
この手は…握って居てはだめだ。
離さなければ。
「……おや…。
目が覚めましたか?」
「離して…下さい…」
「はぁ…。
貴女まだそんな事を?
…離しませんよ」
言葉通りに手はビクともしない。