die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第10章 episode.10
レイジさんは簡単に言う…。
確かにさっきまで私はここで眠っていたのだけど、気を失ってしまうのと眠るのとでは全然違う…。
それでは私眠れる気がしないのだけど…!
「さ、早く横になって。
私をいつまでも起こしておくつもりですか?」
「そんな、つもりは…」
う…仕方ない…ひとりでは戻れないのだし…。
とりあえず横になって、回復したら戻ろう。
観念して身体を横たえる。
「素直なひとは好きですよ。
では、お休みなさい」
「お、おやすみなさい…」
背中に気配を感じながら、胸のドキドキを何とかしようとすればするほど気になって眠れない。
「…マイさん?
貴女…緊張しているのですか?」
「は、はい…それは…します」
「フフッ。可愛いですね…」
そう言うと背後から髪を撫でてくれた。
私、こんなに翻弄されて、どうなってしまうんだろう。
刻み込まれた牙の痛みは、忘れる事はないだろう。
昨夜の満月も、口付けも…。
始めは逆効果だった髪を撫でられる感触はすぐに安らぎに変わり、私はすぐに眠りに落ちていった。