第5章 IH予選
『ほら、バス乗り遅れるぞー!』
及川「聖ちゃん、とりあえずこっちのバスに積む荷物類は全部積んだよ、あとは皆が乗るのみ」
『わかった、終わったら点呼して溝口さんに伝えてね』
及川「ハァイ」
五月中旬。
まだまだ涼しい東北では、インターハイ予選が始まろうとしていた。
うちはシード校なので、1回戦目はない。
2回戦からの参加となる。
だがひとまず見ておかなきゃいけない高校を確認しないといけないので、先にレギュラー、ベンチ入りの奴らを連れ仙台市体育館まで向かう。
金田一「聖さん」
『ん?』
体育館に着き、荷物を持っていれば金田一が持ってくれるようでひとまずお礼をする。
それから少し考えるふりをしてから
金田一「やっぱり、烏野あがってきますかね…」
『あー…んー……1回戦は勝つと思うけど、二回戦は多分伊達工だし、でもどっちが上がってきてもいいようにしておかないとね』
松川「まず目の前の敵からだぞ、金田一」
花巻「そうそう」
金田一「うっす」
きっと金田一はまだ飛雄の件について少し引きずっている。
3回戦は明日。
今日は大岬。
目の前の勝利から確実に掴んでいかないと、何があるかわからないのがバレーだ。
試合に決まったことなんてない。
『…よし』
岩泉「緊張してんのか」
『ううん、全く』
岩泉「ならいい」
隣を歩くハジメちゃんは少し口元を緩めていた。
楽しみなんだろうか。
貴広が私たちの間に割り込み、頑張ろうな!と笑顔を見せてきて、それにつられて笑った