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煌めくときにとらわれて【流川】

第2章 アパートにて


ご飯を食べ終えて、食器を洗って片付ける。
しばらくして、ソファに座ってる楓がウトウトと寝落ちそうになっているのに気がついた。
部活帰りだったし、疲れてるのかもしれない。

「楓?眠いなら、もう寝ていいよ」

近寄って「ベッドで寝ていいから」とすぐ傍にあるベッドに促そうとするが、楓は「ここで寝る」と言ってそのままソファの上に寝転がってしまう。
二人掛け用のソファに楓の大きな身体が入りきるわけもなく、体勢がつらそうだ。

「そんなところじゃ、あんた狭すぎるでしょ。私はソファでも充分寝れるから、楓はベッドで寝なさい」

「いい…」

「よくない。明日、練習試合なんでしょ。そんなところで寝て、体痛めたりしたらダメでしょ」

肩の辺りを掴んで揺り起こすと楓が眠そうな顔を上げて私を見たので「ほら、ベッドのほうで寝て」と顔を覗き込む。

楓は観念したのか、のそのそと身体を起こしてソファから立ち上がり、そのままベッドへ寝転がった。
身体は仰向けだが、顔は私がいるほうとは反対側に背けている。
僅かな反抗に思わず笑ってしまいながら、かかりきってなかった掛け布団をかけ直してあげた。
やっぱり世話が焼ける子だ。


残りの片付けを終えたので私も寝ることにした。
先ほどまで楓が寝ようとしていたソファへ寝転がる。
小柄な私は身体を丸めれば、まあまあ寝られるけれど。
やっぱり、ここに楓を寝させなくて正解だったな。

ふと顔を上げて、ベッドで寝ている楓を見る。
寝返りを打ったのか、ちょうどこちらを向いていたので寝顔が見れた。
他人のベッドで熟睡できるのか心配だったけれど。
スースーと小さな寝息を立てながら、ぐっすり眠ってくれている。

「よかった。…おやすみ」

安心して、私もようやく眠りに落ちた。
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