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煌めくときにとらわれて【流川】

第2章 アパートにて


楓がお風呂を済ませるまでに、なんとか二人分のご飯を作り上げた。
ご飯、味噌汁、肉じゃが、サラダ。
当初はこの四品だったが、これだけでは楓が足りないだろうと思い、卵焼きと肉豆腐も追加した。

「多めに作ったつもりだけど、足りそう?大丈夫?」

「たぶん足りる」

ご飯を並べた座卓に向かい合って、床に座布団を敷いて座り「いただきます」と食べ始めた。

そういえば、自分で作ったご飯を楓に食べさせるなんて初めてだ。
母さんの料理を真似て作っているので、ウチの実家で母さんの料理を食べ慣れている楓の口に合わないことはないと思うけど。

「味、大丈夫?」

少し不安になって聞いてみると、黙々と食べていた楓はコクリと頷いて「うまい」と言ってくれた。

「なんか二人でこんなやりとりしてると、本当の姉弟になったみたいじゃない?」

ふと思ったことをそのまま口に出してみた。
すると楓は食べ進めていた手を何故か止めてしまった。

「…オメーは俺の姉貴じゃない」

「…えっと」

そこまで否定しなくてもと笑って返そうとしたけれど、楓は真剣な眼差しをしていて、ドキッとして言葉が出てこなくなった。

「俺はオメーの弟じゃない」

そう言うと楓はまた黙々とご飯を食べ出した。
私に返事を求めているわけでも、怒ってるわけではなさそうなので、私は何も言わないことにした。

でも思うことはある。
バスケができれば満足で、それ以外のことは気にしない子だと思っていたけれど。
子供扱いされるのは嫌なのか。
でもそうだとしたら、今日わざわざ私のところに世話を焼かれに来た意味がわからない。
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