第9章 おそ松のおでん
「うーす。ハイブリッドおでんでーすっ」
ドアを開けると、酔っ払って赤ら顔なおそ松くんが立っていた。
手には、チビ太くんのおでん。
「…そ、そんなの…頼んでないけど」
気持ちとは裏腹な、かわいくない返事をしてしまう。
「チビ太からお前にって」
おそ松くんはニッと笑った。
「そうなんだ…。チビ太くんが…」
わたしがおでんの袋を受け取ると、
「じゃあな」
おそ松くんは、すぐさまわたしに背中を向け帰ろうとする。
「ま、待って!」
思わず袖を掴み呼び止めると、彼は感情の読めない表情で見つめてきた。
「…一人じゃ食べきれないから…その、一緒に食べて…」
勇気を振り絞り誘うと、袖を持つ手が少し震える。
「イイよ」
おそ松くんはふんわりと微笑んだ。