第9章 おそ松のおでん
おでんの温かさが、酔っ払いながらも急いで来てくれたことを物語っていた。
取り皿とお揃いのお箸、缶ビールをテーブルに並べる。
バラエティーは既に終わり、二人でニュース番組を観ながらおでんを頬張った。
「おいしい…チビ太くんのおでん、久しぶりに食べた」
「そうだな、最近連れてってやってなかったし…」
おでんの具は全部二つずつ仲良く入っていた。
チビ太くんの粋な計らいなのだろう。
「チビ太くん、また話したいな」
「あぁ…」
会話が途切れる。
わたしは話すキッカケを作れず、黙々とおでんを食べる。
出汁の風味が口いっぱい広がり、噛むたびにじゅわりとつゆが溢れる。
まるで、慰めてくれているような、そんな優しい味。
チビ太くんの愛情をたっぷり注がれたおでんは、いつ食べても心にしみる。