第13章 チョロ松の台本 愛のむきだし編
「…どういう意味?」
「情けないよね…カッコよくなってキミに認めてもらいたいからって、兄弟にウソの演技なんてさせてさ…」
今の一言で、なんとなく台本の意図は読めた。決して悪ふざけをしていたわけじゃなかったんだ。
「主ちゃんはちゃんと就職して働いているのに、僕ときたら…父さんの知り合いにまだ返事もしないでだらだらしてさ…ほんと、カッコ悪い…」
チョロ松くんは空のカップを握りしめる。
「就職して家を出て、主ちゃんと同棲して、親に仕送りして、兄弟の模範になって…。それがなりたい自分なのに、口ばっかりで何一つ出来てない!!宣言したって兄弟に鼻で笑われて終わって…!!」
初めて聞いたチョロ松くんの本音。
優しさの裏に隠されたむきだしな言葉。
「チョロ松くん……」
「だから、表面だけ取り繕って主ちゃんを繋ぎとめようとしてた。でも、これでよかったんだ!こんなニセモノの僕じゃ、どのみちいつかボロが出て結果は同じだった!だから…」
「言わないで…」
「…だから…さ…」
その言葉だけは、聞きたくない。
言わないでよ…。