第12章 楽しい楽しい林間合宿
マンダレイの従甥である洸汰くんが緑谷の陰嚢に正拳突きしたり、焦凍と爆豪くんが漫才している光景に爆笑しながら、私は女子達と汚れた足をどうにかできないかと相澤先生に交渉した。そして、許可を得たので、荷物を確保してから水道を探そうと首を巡らせていると…
「…オイ」
振り向けばわたしより幾分か小さい男の子、洸汰くんが、気まずそうにこちらを見ていた。
「どうしたの?」
面倒見のいいお茶子ちゃんが屈んで聞くと、洸太くんは自分の個性である水を出して見せた。
「えっ!! もしかして、洗ってくれるの?」
そう聞けば、頷く洸太くん。中々水道を見つけられなかった女子は歓声をあげた。
「じゃあ、最後は私か」
洸汰くんが手際よく、残った私の足を綺麗にしてくれると、私はお礼を言って立ち上がろうとした。
「あの…さ…」
「ん?」
何かを言いたげな洸太くん。私が彼と視線を合わせるためにさらにかがみ込む。すると、彼の大きい目が私を向いた。
「あんたの親も…ヒーローだったのか?」
「え?」