第1章 劣情の視線
水戸に引っ張られるがまま
出会ったマックの前からそんなに離れていない綺麗なマンションの前に来た
高そうな所に住んでるなとかこいつ大学生だよなとか
そういえば水戸のことをほとんど知らないままだということに気付く
そのまま無言でエレベーターに押しこまれ8階のボタンを押す水戸
その背中を見つめたまま何も言えず、視線を落としてエレベーターの床を見つめる
ふと気配を感じ、水戸と距離が縮まっていることに思わず後ずさり
後ろの壁に肩が当たる
「葉月さん、そんな怖がらないでよ」
「っ怖がってねぇよ」
眉尻を下げた水戸の笑み
その笑みを見つめたまま動けない
さらに距離を縮める水戸に思わず息を止める
「葉月さん、あんた可愛すぎ」
至近距離で囁かれまた熱が上がる
そのまま軽く口付けられ、離れると同時にエレベーターの止まる音
「残念そうな顔しないでよ」
いったい水戸の前で俺はどんな顔をしてるんだろうと改めて思う
腕を引かれそのまま部屋に入り、大きめのソファーに押し倒された
そのまま深めのキス
「-----っん、んっみ、みとっ」
荒々しく口付けられ、息を乱しながら抵抗する
「ちょ、っと待て!んんっ」
俺の声が聞こえないかのように、角度を変えて続けようとする水戸
こんなに熱っぽいキスをするやつなんだと自分の乱れる息を聞きながら思った
「ぁ、あぁっ!」
自分の喘ぎ声と水戸の吐息が混じった空間
熱の篭った荒々しい動作で
縋るように水戸にしがみついた
あの時と同じように
ひたすら水戸に喰われてる感覚
思わず口にしてしまいそうになる言葉を飲み込んで、ひたすら快感だけに集中した
「葉月さん・・・俺、改めて言うけどあんたのこと好きだ」
「----っぐ!」
口に含んでいたコーヒーが気管に入りむせ、涙目のまま水戸を見る
「本当は先に言わないといけないと思ってたんだけどね、我慢できなくて」
俺が我慢してた言葉をサラッと言うなよ
言ってはいけない、認めたくないと思ってた気持ちを一瞬で流されそうになる
「俺、もっとあんたに触れたい」
熱の篭った視線に囚われて
逃げれないと悟る
「------好きにしろよっ」
どんだけ足掻いてもこいつには勝てない、体に染み付いてるのだから仕方ない
近づいてくる熱に預ける様に目を閉じた