第2章 おそ松1
―カチャカチャ…カチャ……タンッ
私は週の終わりにまとめてやってくるデータの整理を急いでいた
「ちゃ~ん、まぁ~だぁ~?」
「……」
「ちょ、無視しないでよ~おにいちゃん泣いちゃうよ~?心臓がきゅっとなって死んじゃうよ~?」
背中におそ松くんの暖かい温度を感じながらも、この仕事をする責任感という重圧を解消することに躍起になっていた。
「まだかまだか」とせかす彼の声は届いていたが、「もう少し」と脳内で返事をしたつもりになっていた。
しびれを切らしたおそ松くんは、振り返り、私の耳元にふぅーっと息を吹きかけた
「んひぃっ!!」
思わず声を上げた。
ぞわりとした腰が抜けそうな感覚と共に、鳥肌がプツプツと腕に浮かび上がる。
「んひーっ!だって」とケタケタ笑う彼を少し咎めるような思いで視線を投げ、再度ノートパソコンの画面へと視線を戻す。
「ちぇっ……なに~?昨日約束したじゃん、デートしようよ~。俺、昨日パチンコの女神さまに愛されたからすっげー懐が潤ってるんだぜ?今日はおごっちゃうよ~?ね~ね~、ね~ってば~~~~!!!」
「わ、わかった!ちょっと、これだけ……これだけで終わりなの。これをやりきらないと、気になっておそ松くんと楽しめないから」
画面を凝視し、より一生懸命に急いで入力する。
そんな私を見て、諦めたのか急に静かになった
「よしよし」
「?」
急に頭を撫でられる
「急かしてごめんな、俺、自由なニート様だから明日でもいーよ」
にかっと笑ってそう言ってくれる
「ありがとう、でも、私もおそ松くんといっぱい楽しいことしたい!待っててね」
「へへ、了解」
この1時間後、念願叶って2人で買い物やカラオケ、競馬に居酒屋へと行くのだが途中で他の兄弟に見つかってしまい、結局全員でわいわいと騒がしいデートとなったのだった。