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消えた水曜日

第2章 ひと言の勇気 _中篇_


_Sho side_


「先輩、おはようございます!
 昨日大丈夫でした?」



職員室に入りデスクに座ると
隣の席の竹内が
椅子ごとこっちに寄ってきた。


「おう。
 昨日はありがとな。
 二次会行けなくてごめん。」



「全然いいですよ。
 てか、来ない方がよかったですよ。
 あの後、教頭のワンマンライブでしたから。」



こそっと耳打ちして
離れると頭を掻き苦笑した。

俺も苦笑で返し
パソコンの電源を入れる。



「そう言えば!
 先輩、教師辞めるって噂
 本当ですか?」


さっきよりも距離を縮め
顔を前に向けたまま
小声で聞いてくる。



「あれ、もう広まってる?」



「本当なんですか!?
 勘弁してくださいよぉ。
 ただでさえ教師足りないし
 それに僕の味方先輩だけなんですよ!」



「コラ、そこ。
 もう朝一会議始めますよ。」


教頭に怒られて
しゅんとした顔で謝る竹内。


校長の長い話を
右から左へと聞き流す。




もう噂になってるんだ。
まぁ、狭いからな。



「____。
 では、これで終わります。」



話しが終わり。
それぞれの受け持ち教室へ向かう。
出席簿とタブレットを持って。



この学校は普通じゃない。
世間的に言えば
聴力に障害を持つ子が通う
支援学校だ。


それが、俺が教師を辞める
原因になっているんだけれど。



「笑顔、笑顔。」



両頬を強めに叩き
教室の扉を勢いよく開けた。


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