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消えた水曜日

第1章 ひと言の勇気 _前篇_


_You side_


お店の掃除が終わって
テラスへと足を進めた。


テラスからは
今は使われていない線路が
よく見える。




「波留。」




振り向くと
モップとバケツを持った和也が
眠そうにこっちを見つめていた。




「お昼寝?」




そう聞くとコクッと頷いて
二階へと消えてしまった。



彼の胸元には
十字架のネックレスが光っている。



「波留ちゃん!!」



「あぁ、相葉さん。」

駅長の制服を着た相葉さんが
ここ寒いねなんて言いながら
帽子を取りカウンターに腰かけた。


「しかし
 こんな森の奥なのに
 よくお客さんくるね。」


「みんな、和也に会いに来てるんですよ。」



珈琲を差し出して
隣に腰かけた。



「嘘だあ、笑
 あんな無愛想なのに。」



「そこがいいんですよきっと。」


二人して笑いながら
正面を向いた。




「あ、そうだ。
 今日は説明に来たんだった。」



「なんですか?」



相葉さんは慌てて
ポケットから紙を取りだし机の上に広げた。




「工事?」




「そ、三か月だけだけど。」



紙には赤文字で


線路修理のお知らせ。


そう書かれていた。


「線路の調子が悪くて修理するから
 毎週水曜日あそこの線路に
 電車走らせてほしいんだ。
 前の駅で降りる人多いから
 ほぼ無人だけど。」


なんでも、
新しい線路が来るまで
ひとつ前の駅に止まれないらしく
ルート変更して
終点があの駅になるらしい。
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