第2章 Trichophilia #竜ヶ峰帝人
帝人side
前日に入学式を終え、いよいよ本格的な授業が始まるようになった。
正臣には気張らずにやれって言ってはくれていたけれど、やはり不安は残る。
帝人「一限目は…英語か…」
初めての授業だし、怖い先生じゃなきゃ良いけど。
考えながら時計を眺めていると、チャイムが鳴る寸前、女の人が慌ただしそうに入ってきた。
『ま、間に合った…』
入ってきた女の人はぼさぼさになった黒く、長い髪を撫でつけて、呼吸を整えながら教卓の前に立った。
そして、当たりを一通り見渡して笑顔になった。
『皆さん入学おめでとうございます。そして初めまして』
女の人は、どうも英語の教師だったようで、チョークを持った手を伸ばして黒板に名前を書き始めた。
その時、先生の髪が落ち、それを邪魔そうに掻き上げた。
その姿がどことなく色っぽく見え、胸が高鳴る。
『です。よろしくね』
ロングヘアの髪が揺れ、腰あたりで膨らんだ。
胸の高鳴りは、より一層大きくなった。
僕はその日、先生を特に先生の髪をじっと眺めるだけで終わってしまった。