第3章 Menophilia #平和島静雄
貴女side
勢いよくノックされる部屋の扉が、痛む下腹部を刺激する。
太鼓を叩かれているような重みのある浮遊感。
『ま、待ってくださーい』
ぐっと力を入れて扉を開く。
扉を開けた反動と、痛み故にとれないバランスが、私を部屋の外へ押し出そうとしているようだった。
前に倒れ込みそうになり、急いでドアノブに手をかける。
それを戻すように外に立っていた男が私の肩を掴み部屋に押し込んだ。
ありがとう。と思ったのも束の間で、そのままゆっくりと玄関へ倒れ込んだ。私の後頭部を守るように、静雄が手を当てている。
目まぐるしい展開に、思わず腹痛など忘れてしまっていた。
『ちょっと静雄、どうしたの』
私の問いに、静雄は答えず唇を重ねた。
重ね合わす、スキンシップではなく、彼が本気の時に見せるキス。
煙草の残り香が私の中に入り込んでいるようで。
『止めてよ…』
離れた唇に、艶やかな唾液が絡みつく。
「嫌」
でも
「嫌」
きっと、新宿の彼に遭ったんだ。淡々と答える静雄に抵抗など私は出来ない。静雄は私を抱え、ベッドへ連れて行った。
『あの、静雄…今日私生理なの…』
「だから?俺はその方がいい」
『でも気持ち悪いよ』
「そんなこと無い」
そう言いながら、静雄は私の部屋着を捲り、下着を脱がす。こうなるとどうしようもない。
『パンツも脱がすの?』
彼は答えなかった。もう脱がしてしまっているから。そして脱がした下着を静雄は眺めていた。
『汚いから…!止めてよ』
「良いじゃねぇか」
静雄は、ナプキンについている経血を舐めとった。