• テキストサイズ

【薄桜鬼 学パロ】サクラチップス

第8章 夏の始まりと合宿と…


雪村が必死に枕を投げている様子を想像するだけで、なんだか顔が緩んで仕方ない。

だが、枕を当てては大変だ。しっかり守備をせねば…

と、考えていると、くすくすと笑う声が聞こえた。

「斎藤先輩、さっきから難しいお顔をなさってますけど…」

そう言う雪村は微笑んだままだ。

「いや、あんたに当たっては大変だと思って…」

「ありがとうございます。ふふふ。斎藤先輩が枕投げなんて、なんだか意外で面白いです。」

雪村はうれしそうにそう言うと、

「よし、頑張ります。土方先生の背中に貼紙なんて、そんな怖いことしたくありません。」

ん、と口を結んで、気合いを入れたらしい雪村を見て、俺は再び笑みがこぼれる。


雪村の目を見て笑えば、少し赤くなって俯いた。

そしてそのまま上目遣いで俺を見上げて、にこりとする。


これは…本人に自覚があるのだろうか?あるのだったらとんでもない悪魔だろう。

俺はそんな雪村の一連のしぐさと表情に、完全に捕われてしまっている。

「斎藤先輩?」

無言のままの俺に、首を傾げて声をかけてくる雪村に、

「いや、なんでもない。」

と、近くに落ちていた枕を拾った。



勝敗が決まる前に、鬼の形相の土方先生に怒鳴られ、この枕投げ大会は終了した。


消灯までわずかな時間しかなかったが、俺はこの合宿中、毎日行っていた中庭へ向かった。
/ 255ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp