第8章 夏の始まりと合宿と…
土方先生に掛け声は却下されたけど、二列になって僕達は走った。
近藤さんが合宿を記念して部員全員に作ってくれた水色のTシャツ。
みんなでそのTシャツを着て、列を組んで走ってる姿を、近藤さんに見せてあげたかったな…
きっとすごく喜んでくれるだろうな…
なんて思いながら走っていると、なんだかみんながざわついてる。
どうやら一番後ろを走ってた夢主(妹)ちゃんが転んじゃったみたい。
「新八に続いてそのまま先行ってろ。」
そう言って土方先生は最前列から抜けて、夢主(妹)ちゃんの所へ行く。
僕も一緒に夢主(妹)ちゃんの所まで行くと、膝から血が出てるのが見えた。
結構ごつごつとした砂利を固めたような道だったから、けっこう傷が深そう。
「ずいぶんと派手に転んだな。」
「いたたたたた」
最後尾にいた左之先生に支えられて、体を起こしてる夢主(妹)ちゃんがいた。
「ったく。何もねえ所で転んでんじゃねーよ。」
「立てるか?とりあえず戻って消毒しないとな。」
土方先生と左之先生が寄ってたかって心配をしてる。
その二人をかきわけて、
「夢主(妹)ちゃん、合宿所まで僕が連れていくよ。ほら、背中にのって?」
そう言いながら夢主(妹)ちゃんに近寄った。