第8章 夏の始まりと合宿と…
朝食の前に、運動部の合宿らしく「走り込み」をすることになっていて、起きて顔を洗ってジャージに着替えて…合宿所の玄関に集合する。
「みんな俺について来いっ!遅れんなよ?」
「おいおい新八。朝っぱらからうるせーんだよお前は」
集合場所に着けば、屈伸をしながらはりきってる新八先生と、足を伸ばしながら走る準備をしてる左之先生の姿。
あ~あ…いい大人が張り切っちゃって。
「おはようございま~す」
ふぁ~って大きなあくびをしながら、夢主(妹)ちゃんが来た。
まだ眠たいのかな。なんだかぼーっとしてるけど。
「おはよう夢主(妹)ちゃん。それは寝癖?」
寝癖なんてついてないけど、前髪をつんってつつけば、ぼーっとしていたはずの夢主(妹)ちゃんが一気に目を見開いて、バッと両手で前髪を押さえた。
「なぁんてね。寝ぼけ顔の夢主(妹)ちゃんもかわいいなって思って言ってみただけだよ。」
笑いながらそう言えば、みるみる真っ赤になっていく。
楽しいなぁ。
朝から晩まで、様子を見ていられるなんて、やっぱり合宿に来てよかった。
そんなこと近藤さんに知られたら、怒られちゃうだろうけど。
二列に並んで列を組んだまま走ることになって、今まで部活の時間に走ることなんてなかったから、なんだか新鮮なのはいいんだけど…
「薄学~ファイッオーファイッオーファイッオーってのどうだ?」
新八先生がはりきって掛け声まで作っちゃった。
確かに野球部とかが走る時はそんな掛け声してるけど、なんだかなぁ。
「合宿!ってかんじで楽しいですねっ!ファイッオー!」
早速夢主(妹)ちゃんがそんな新八先生のテンションに乗っかっちゃってる。
はりきって掛け声の練習を新八先生と始める夢主(妹)ちゃんを眺めてれば、
「うるせえぞ新八!いくら合宿所とはいえ、近所迷惑だろうが!!」
って土方先生に怒られちゃってしょんぼりしてる。
走るコースは合宿所の外周。
なんだ、大したことないじゃない。