第2章 ◎暖かい背中
「話終わったよー。
手紙書いて荷物持って
すぐに行こうか。」
家では何度かしたことがある。
でも、ほとんどまことちゃんの家で
この街を出るなんて
考えたこともなかった。
「あの、10時にでもいいかな?
みんな仕事とかで
家からいなくなる時間だから。」
慧さんは頷き
ニコッと笑う。
「じゃあ、10時までうち来なよ!
便箋あるし
もう少しで暑くなるしさ。」
まことちゃんがそう言うから
甘えることにした。
そうと決まればと
家へ向かうまことちゃんに
慧さんは駆け寄る。
私はその後ろからついていくと
隣に風磨君が並んで歩いていた。
「もう、戻ってこねぇの?」
「うん…。
そのつもり。」
風磨君は
そっかと呟くように言い
上を向いた。
「電話ぐらいはしろよ。
心配だから。」
風磨君はいつも
私の心配をしてくれる。
きっと、まことちゃんの友達だから
妹みたいに見てくれてるんだと思う。
「うん、ありがとう。
そういえば、さっき慧さんと
何話してたの?」
風磨君は私を横目で見ると
溜息をついて
私の肩を抱き寄せた。
「波留は知らなくていい。」
「なにそれ。」
子供みたいに
頬を膨らませて拗ねていると
風磨君は
今までに見たことがないくらい
優しい笑顔を見せてくれた。