• テキストサイズ

白いカーネーション

第2章 ◎暖かい背中



「あんた、
 ちょっとこっち来い。」


風磨君は
慧さんを連れて
洞窟の方へ行ってしまった。


「変なやつ。」


まことちゃんは
呆れたように溜息を吐き
木材に腰かけた。



「風磨くん、怒ったのかな。
 どうしよう…。」




「気にすることないよ。
 あいつは、まぁ
 あんたのためを思って怒ってんの。」



「私のため?」



隣に腰かけると
まことちゃんは
吹き出すように笑い
私の手をとった。



「それより、
 もらうってどういうこと?
 付き合うってこと?」



「違う…。
 わたし、ずっと居場所を探してた。
 でも、私が探し回るにも
 限度があって…。」



夜遅くまで探したって
18歳の女子が探せる範囲なんて知れてる。




「だから、あの人と一緒に
 もっと遠くまで行って
 私が、生きるのもいいかなって
 そう思える所へ行きたいの。」




下唇を噛みしめ俯く。
私の悪い癖だ。
いつもこうやって
人から拒否されそうなときは
下を向いて逃避しようとする。




「いいんじゃない?
 あんたのやりたいようにやれば。」



「…ホントに?」



「その代り、たまには電話しなさいよ。
 おばさん達には
 何とか言いくるめとくから。」



なんでそんなに優しいの。
涙が零れそうになったとき
二人の影が見えた。



「あっちも話終わったみたいね。」



そこには
複雑な表情の風磨くんと
微笑んだままの慧さんがいた。
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp