第6章 ♯5
「失礼します・・・」
団長室はとても広く大きなソファーと大きな窓、簡易キッチンまで備え付けられていた。
ベッドが見当たらないが奥に扉があるのであっちがベッドルームなのだろう。
キョロキョロ見渡しているとじっとこちらを見ているエルヴィン団長が視界に入った。
「あ!すみません。あの、どういったご用件でしょうか?」
「いやいや、ちょっと話相手になってもらおうと思ってね。楽にしててくれ。紅茶でいいかい?」
「えっ!あ、はい・・・お気遣いなく・・・」
一介の兵士が、ましてや新兵が団長室に入って話相手になることなんてあるのだろうか。
団長の真意が分からないまま、紅茶の良い香りがしてきた。
「おいしそう」
「ふふ、紅茶は好きかい?」
「はい。母が好きで色んな種類を買ってきては付き合わされてましたから。紅茶の香りがすると母を思い出します」