第13章 危
「本当、俺もお前も……甘え下手な」
誰かに頼ることが、弱さだと。
誰かに縋ることが、狡さだと。
言われたわけでも、あるまいし。
単純に。
その方法を知らないだけで。
それを委ねるための。
相手も、いなかっただけで。
女だてらに刀振り回してりゃ。
強い女を演じることが。
板に付いちまうかも、しれねェな。
まだ、若ェのに。
自分を支えるのも精一杯だろうに。
仲間の背中守るために。
重い拳銃携えて。
むさ苦しい男所帯で。
自分より腕の立つ女を。
庇ってくれる奴ばかりじゃないだろうに。
俺が物思いに更ける間も。
盛大に泣く朱里ちゃんは。
見ていて清々しいくらいの泣きっぷりで。
最初は髪を撫でてあやしてみたが。
どうにもこうにも、止まる様子がない。
「あーもー、そんな泣くなって……」
どういう構造で、その雫が製造されるのかって思う程。
止めどなく涙を落とす。
俺は手探りでティッシュペーパーを掴んで。
「一回、鼻かめ。チーンって、な?」
俺が欲しいと。
あんな台詞吐いた後で、この色気の無さ。
涙拭ってやる方が先と言われれば、その通りだが。
俺も大概、意地が悪い。
鼻にティッシュペーパー充てて。
鼻かませて。
その残害を、ゴミ箱に放り投げて。
「ギュッてしてやるから、そろそろ泣き止め」
俺は布団の上に腰を下ろして。
左右の腕と脚の間に、朱里ちゃんを閉じ込めた。