第9章 秘
今日のシフトは、抱き枕役だ。
つーか、抱き枕役って何だ。
そんなヤツ、いるの?
俺以外に存在すんの?
今晩も後ろから。
キュウッて音がしそうな感じで、抱きつかれてます。
女に後ろは譲らないって断言したけど。
今日もこの有り様だ。
川の字より一本多い状態で。
新八→俺→あの娘→神楽の順で布団に入って寝てたのに。
どーしてこうなったァァァ?
夜這い?
そーいうことか?
でもよ……両脇に、お子様寝てんのに。
それは無理だよ。
何で、お前が泊まりに来る度に。
こーなるんだよォォォ!
腕に負担かけないように。
少し腰浮かさなきゃなんねーし。
寝返り打てないし。
身動ぎできねーし。
途中で目が覚めたら、寝れねーし。
『ソフレ』って。
こんな苦行?
なのに、朝は誰よりも早く起きて。
帰っちゃってることもあれば。
朝飯作ってくれてることもある。
新八と神楽に見られないように、配慮してんのか?
抱き枕な俺を庇ってんのか?
恥ずかしいのか?
いっそ、見せつけちゃえば?
気ィ利かせて、出てってくれるかもよ?
だから、銀さんは今日も寝れないってことで。
もう、お前ら三人の寝息をBGMに。
腰に回った腕から解放されるまで。
夜明けまで、こうして待ってます。
手も握ったことない女に抱きつかれて。
ずっと平常心でいられるほど。
男は優しい生き物ではないと。
俺は思うんですけどねェ?