第4章 生業
「急げ、ぱっつぁん」
「待ってよ、神楽ちゃん」
僕等は銀さんの指示通り、真選組屯所に向かっていた。
直接依頼を受けた銀さんが多いと思うなら。
このお金は返すべきだ。
……聞いた限りでは、迷惑掛けたのはこっちで。
お礼を言うのも、こっちで。
僕が部屋に入ったとき。
ソファで眠る銀さんには、毛布が掛けられていた。
玄関でダウンした銀さんに、神楽ちゃんが毛布を掛けていることがあるけど。
今回、神楽ちゃんは僕が起こすまで寝ていた。
酔っ払ったときの銀さんは、頓着がない。
着の身着のまま寝ようが。
上掛けがなかろうが。
ズボンのチャックが開いてようが。
外であろうが。
なるべく家まで帰って来るという習性はあっても。
記憶が飛んでることがある。
そして、大体が二日酔いだ。
「男には、酒に溺れてェ夜もあるんだよ」
そう言ってたけど。
毎晩溺れるのも、どうなんですか?
弱すぎでしょう。
薄めた焼酎に、叩きのめされてるでしょう。
酔った銀さんの介抱をしてくれて。
加齢臭漂う布団で眠らされ。
眠る銀さんに毛布を掛けてくれて。
報酬まで払ってくれるなんて。
「あの人、どれだけ好い人?」