第30章 探
微酔いの夜。
相手は猫だったんだけど。
黒い毛並みが、艶々で。
合った視線の先の、蜻蛉玉みてェな目が。
ずっと帰って来ない朱里ちゃんに似てたから。
家に招いてみたんだわ。
あのときの俺。
極限だったんだな。
今までで最長の、待てが。
犬でもできる、それが。
俺には、ちょっと限界で。
朱里ちゃんみたいな別嬪さんを。
ちょっと誘ってしまったわけで。
猫だから、浮気じゃねーだろ?
うん、まぁ、雌だったけど。
鼻先を舐める舌は、ザラザラしてて。
やっぱり、猫は猫だった。
落ちとしては、こんな感じなんで。
土下座もするから。
300円あげるから。
あの日は、本当。
人肌恋しくて、泣きそうだったから。
今回のことは、大目に見て貰えませんか?