第29章 昧
待つことに慣れた。
それは嘘と本音の、裏腹。
良い報せも、悪い報せもない日常が。
一日。
一週間。
一ヶ月と過ぎて。
その間に。
誰かの思いを護るための、戦いがあって。
身体中、傷だらけで。
新八と神楽に怒られて。
当然だけど、死んだら駄目だって。
自分でも、解ってるんだけどな。
実際は、ギリギリのバランスで立ってるなんて。
誰にも知って貰いたくねェから。
背筋伸ばして、振り返らないで。
ひたすら前進してるってだけで。
実在する俺は。
正直、そんなに強い男じゃねーんだ。
「早く帰って来い」と伝える術がないから。
『いつ帰って来てもいいように』
飲みに行く日も、減らしたんだけど。
待てど暮らせど、帰って来ねーから。
銀さん、時々泣きそうだわ。
なぁ、朱里ちゃん。
そろそろ、二ヶ月になるけど。
いつになったら、ココに帰ってくんの?