第3章 食
「別嬪さんだろ?」
銀さんは、猫の頭を撫でながら言う。
確かに、すごく綺麗な黒猫だ。
「飼うつもりはねェんだ。昨日の夜、一緒に飲んだだけで」
「猫が酒飲めるわけないでしょーが!」
「イヤ、いちご牛乳を」
どんだけ酔っ払ってたんだよ。
本当に、見境なしだな。
突然の来訪者にいちご牛乳ってアンタ…。
エリザベス以外、喜ばねェェェ!
「飼い猫かもしんねェし」
銀さんは視線を上げないままだ。
「好きなときに、帰ればいい」
それまで面倒見ればいいと呟いて。
「ごちそうさまでした」
と手を合わせた。
同時に猫が「にゃー」と鳴いて。
すでに、かなり懐かれていると悟る。
「アンタ等、もう仲良しじゃないですか」
この猫、ずっと居るよ。
出てかないよ。
面倒見るの、僕だよ。
だって、銀さん家に居ない日の方が多いじゃないかァァァ。
頭を抱えていると。
足元に、猫。
ゴロゴロと喉を鳴らして、身体を擦り寄せる。
「よろしくね、猫さん」
僕は脚に擦り寄る猫の頭を撫でた。
「新八ィ。そいつは俺のだからな!」
「解ってますよ。どんだけ気に入ってるんですか」
お茶を出しながら、銀さんを見る。
随分、この猫に入れ込んでるけど。
何だろう…。
飼わないって言ってるのに。
コレ、今回の『依頼品』かァァァ?