第3章 食
「にゃー」
目を閉じて思案していると、間延びした猫の声。
「あー、腹減ったか?」
一旦、思考回路を停止して布団から出る。
俺は思ったことが顔に出ないけど。
ポーカーフェイスのはずだけど。
このまま考えてたら、あいつ等にバレる。
何かが起こったことが。
空気感染する。
「猫って何食うの?」
ベタに魚?
それとも肉?
皿にドッグフードを盛ってから。
両手で抱き上げて、顔を突き合わせると。
猫は脚をバタバタ動かして。
俺の頬に会心の一撃を食らわせた。
「オイオイ、ご主人様にそれはねーだろ?」
その言葉に、猫は首を傾げて。
俺も首を傾げる。
「え、何?女のこと考えてたから、ヤキモチか?」
「……」
「それとも何?朝飯に文句があるわけ?」
「にゃー」
「あぁ、そう。何かちょっと傷ついちゃった、俺」
フイッと視線を逸らすと。
最後に猫は俺の鼻の頭をひと舐めして。
「にゃぁ」
と、満足げに鳴いた。
何、その勝ち誇った顔。