第24章 呼
窓がない部屋。
朱里ちゃんの腰を抱いたまま、身体を反転させて。
枕元の時計を確認する。
幸い、まだ9時を過ぎた頃。
「そろそろ帰るか」
顔を覗き込んで、意思確認をする。
俺の胸に寄せた顔を少し上げて。
朱里ちゃんは、フルフルと首を振った。
「あと少し……」
叶えられる願いを口にして。
「もう少し、このまま」
ぎゅっと抱きついてきた。
オイオイ、それは反則だろ。
可愛いお強請り、駄目だろ。
部屋の色、見てみろ。
すげェムーディーだぞ、オイ。
「一回じゃ、足りなかったってこと?」
こめかみに一つ、口付けて。
軽く肩を抱いてやる。
俺の服を掴む指先が、微かに動いて。
「……はい」
表情が見えないように、額を胸に押し付けた。
それも反則だろ。
真っ赤な顔、拝ませて?
それも暫く見れないし。
離れても、忘れないけど。
「銀さんが欲しいって、言ってみ?」
言えたら、ご褒美やるから。
意地悪って、朱里ちゃんが悪態吐くまで。
欲しいだけ。
延々、してやるから。
「銀さんは朱里ちゃんが欲しい」
さあ、どうする?
駆け引きの軍配がどちらに上がるか。
勝敗は、朱里ちゃん次第だけど?