第22章 誘
つもりになったのに。
何でこうなった?
腹が満たされると眠くなる、動物の習性。
それに従順な朱里ちゃん。
少し前まで、誘う視線と仕草で翻弄してたのに。
どこで電池切れたの?
一回で終わりって。
そりゃ、酷だろ。
俺、まだイってないのに。
何で、また寝落ちィィィ?
イヤ、我慢する。
朱里ちゃん、イカせてあげられたから。
我慢、するけども。
不発はキツイ。
まだ、深夜0時前の静寂が。
規則正しい、その寝息が。
それでも萎えない、股間のモノが。
その気になっちゃった銀さんには、辛い。
中途半端に脱がせた着衣を整えて。
布団を捲って、身体に掛ける。
今朝と同じように、汚れたシーツの上に転がって。
その肢体を、腕に抱く。
「最初から、我慢すりゃ良かった」
我慢なんて、無理と知りながら口にして。
そんな殊勝な心持ちなら。
決意表明、簡単に覆して抱くなんて。
端から、してねーわ。
どんな言い訳も、無意味。
したいから、抱いた。
無理させたくねェって。
無理させなくて良かったって。
素直に思えないところが、駄目なところで。
一緒に寝るだけって。
そう言ったのは、俺なのに。
「首、紅ェかな」
噛んで吸われた箇所を、軽く擦って。
垣間見えた、微量の独占欲に口元が緩む。
「コレは、自惚れちゃうわ」
手解きの後に、俺の真似事。
教え甲斐があると言うか、調教し甲斐があると言うか。
誘い上手の次は、どんなテクで落とす?